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都道府縣を跨いでの移動はならぬと言ふが

事實上全國民を擧げての自肅努力と醫療關係者らの獻身の甲斐あつて
新型コロナ禍に對する非常事態宣言が早くも全面解除される運びとなつた

とはいへ未だ氣を弛めて良い情勢ではなく
例へば都道府縣を跨いでの移動は今後とも愼むべき行動の最たるものらしい

尤もその禁忌は正確には都道府縣境を跨いでの移動と言ふべきであらう
境界ならば線だから徒歩でも跨げようが
二次元の擴がりを持つ都道府縣を跨いで移動するには飛行機にでも頼る他あるまいからだ

新型コロナ禍克服の兆しを傳へる慶事のニュースに半疊を入れる積もりは毛頭無いが
さりとて境の一字が等閑にされるのを黙視するのも忍びない
今この瞬間にも尖閣諸島の周りの海上に引かれた肉眼では見えぬ境界線が
霸權主義を押し通さうとする隣國によつて實力で侵されてゐるかも知れぬとなれば

しかもそれを防ぐだけの手立てを與へられず
傍若無人な隣國の行爲を切齒扼腕して眺めてゐるに違ひない海保廳職員らの氣持を思へば
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秋霜烈日はドラマの中だけか

新型コロナ禍に對處する爲の緊急事態が宣言されてゐる最中
東京高等檢察廳の黒川弘務檢事長が新聞記者らと賭け麻雀をしてゐた事が發覺し
訓告處分に附され辭表を提出した

そのとんでもない非行を倶にしたのは朝日産經兩新聞の記者ら三名だつたさうで
即ち該記者らは檢察ナンバーツーの非行を自ら現場に居合はせて目撃した譯だが
紛れもない共犯者だつたのだから當然の事かも知れないがそれを報道しなかつた

ジャーナリストらが事ある毎に振り翳す知る權利だとか知らせる義務だとか云ふのが
所詮は御都合主義のお題目に過ぎない事は
それこそ事ある毎に思ひ知らされて來たやうなものだが
今回の事件はそんな認識に幾つ目かの太鼓判を捺して呉れると共に
檢察の誇る謂はゆる秋霜烈日なるものに關しても
過日若狹勝辯護士が元檢事の本音を櫻井よしこさん相手にぶちまけて仕舞つた結果
所詮はテレビドラマの中だけの事だつたかと悲觀させて呉れたばかりだが
その悲しい認識を現職檢察官のナンバーツーが態々裏書きして呉れたやうなもので
これまた腹立たしくも情けない限りである

だが飜つて考へるに
あのヒーローなるテレビドラマがあれ程の人氣を博したのは
木村拓哉さんや松たか子さんらの演じたのが檢察職員らの理想型であるとの認識が
檢察内部は固より世間にも廣く共有されてゐる證に他ならず
だとすれば檢察官や檢察事務官らの多くはその理想型に肖らうとして
地道に愚直に日々努力し精進してゐると信じても強ち見當違ひでもないのではないか

臍曲がりを自稱する山人にしてはお人好し丸出しの樂觀論に過ぎるかも知れないが
人は理想を求めずして生きられるやうには創られてゐない筈だし
人間だものと云ふかなり有名で愛好者の多いらしいあの一見ふやけた標語擬きも
必ずしも己のだらしなさを甘やかに赦す爲だけの言葉では必ずしもない筈なのだから

それに何よりメディアの傳へるしどけなくも救ひの無い我が世情とは異なり
私の肉眼に映る身近な世間の營みはまだまだ十分に尋常かつ健全であり
全き悲觀は早計に過ぎると我が曲がつた臍に囁き掛けて呉れるのである

まあ如何に曲がつてゐようと所詮は己が分身
世間の囁きを己の望むやうにしか聽かないのは當然過ぎるほど當然の事ではあるのだが

呵々

政治の季節は一旦終はつたか

問題の檢察廳法改正案は今國會では採決されず次の國會に回される事となつたさうだ

該法案に反對する聲は法曹關係者らのみならず藝能界をも含む各界から擧がり
一體皆が皆事の本質を分かつて物を言つてゐるのかと云ふ當然の疑問も出たやうだが
それに對しては主權者國民は法案に就いて勉強などする必要は無い
たゞ感覺の赴くまゝに聲を擧げれば良いのだなんぞと
ネットやSNSの大通りに堂々宣言する御仁も一人ならずあつたりした模樣で
そんな雰圍氣に政府も嫌氣が差したか遂に今國會での成立を斷念したものらしい
加へて元々は檢察廳筋から上がつて來た案件であり
内閣が無理押しする筋合ひでもなかつたとの話も仄聞する

ともあれネットに紹介される程の反對論の幾つかには私も目を通したが
謂はゆる識者らに據る論と感覺主導主義的主權者らの斷片的な呟きの類ひとを問はず
論理的に納得出來る意見には遂にお目に掛かれなかつた

それでも多數意見となれば正當な選擧で選ばれた政府と雖も讓らねばならない
何たる事かと悲憤慷慨するほど若くはないし
成程これが我國流民主政治の現實と云ふものかと
今更悟つたやうな顔をして見せる積もりも無論無い
こゝ暫く入り浸つてゐた政治の世界から少しく身を引いて
今後暫くは讀書にでも親しんで過ごさうか
しかし市の圖書館はずつと閉まつたまゝだし
扨てどうしたものかと
折柄の雨空を仰いで思案に耽つてゐる次第

後輩檢察官を代辯する若狭辯護士の明かしたもの

十七日朝フジテレビが放送した檢察廳法改正案に就いての特集番組の中で
既に半年間の定年延長が閣議決定されてゐる黒川弘務東京高檢々事長の人事に關し
元檢事の若狹勝辯護士が櫻井よしこさんを相手にあれこれ語つてゐる言葉が興味深い

例へば曰くこれまで檢察は定年になると辭めたくなくても泣く泣く辭めて來てゐる
それを政治的に理由にもならない理由で前代未聞の卑劣な事をよく遣るなと
非常に強い思ひで見てゐます云々

定年で泣く泣く辭めるのは檢察官に限つた事ではないが
態々その事を言ひ立てる若狹氏の發言には
前代未聞の厚遇に與つた黒川氏への強い羨望ないし嫉妬が滲んではゐないか
勘ぐれば或る檢察官の役職定年が總理の意嚮で延長された事が問題なのではなく
その恩惠に與つたのが黒川氏だけであつて檢察官一般でなかつたのが怪しからぬと
さう言つてゐるやうにも聞こえるのだが

ともあれこれに對して櫻井よしこ氏が己の取材結果に基づき
黒川人事の元々のアイデアは檢察廳の側から出てゐる
官邸は檢察廳から上がつて來たものをそのまゝ受け入れたゞけだと反論すると
若狹氏は俄然雄辯になつて曰く
その話は本當に極めて表面的で實態を捉へてゐない
實質的な發案者は官邸で間違ひない
たゞ形式的な國の組織としては檢察廳は法務省が管轄してますから
形の上では法務大臣から上申した形になるのは當たり前なんです云々

檢察廳が法務省に属してゐるのは形式上だけの事だとは恐れ入る
詰まり若狭氏の口振りが示唆する處
檢察廳が通常その人事案を法務大臣に上げるのは
申請してゐるのでもなければ承認を求めてゐるのでもない
たゞ盲目判を捺せと命じてゐるだけだと云ふ事にでもなるらしいのだ

それにまた檢察官が俗に謂はれる如く秋霜烈日を旨とする存在ならば
官邸の發案になる人事案なんぞ斷乎撥ね付ければ良いだけの話ではないか
假にさうしたからとて法律によつて保護された身分が搖らぐ譯は無い筈なのだから

ところが現行檢察廳法の許でも檢察官らがそれをさうは出來ず
官邸の發案を事務化する爲の人事手續を唯々諾々進めねばならぬ立場にあると言ふのなら
官邸は何の必要あつて檢察廳法の改正など今更したがつてゐるのだらう

若狭氏は更に言ふ
元々檢察廳の人間が自分達の事を考へれば
黒川さんの定年延長を自ら上申するなんて有り得ない
自分達のポストが削られて將來ポストが無くなつて行く譯ですから云々

これも分かり易い
詰まり檢察廳の人事を檢察だけで遣るのは
司法の獨立の爲でもなければ三權分立堅持の爲でもない
唯々上級ポストの數を維持しその配分と順送りを圓滑ならしめたいが爲のみだと
若狹氏はこれ以上開け擴げにしやうが無いほど開け擴げに語つて呉れてゐるのだから

蛇足ながら現職の公務員に言論の自由は事實上無い
それを精一杯リアルに代辯しようとした若狹辯護士の純情は十分に評價できるのだが
その結果檢察官の特質だと聞く謂はゆる秋霜烈日なるものが
所詮はテレビドラマの中だけの事だつたかの如く見えて來た
洵に殘念至極である

檢察官が眞實秋霜烈日ならば

大方の檢察廳法改正反對論者らの言ひ分を取り纏め
元檢察官有志らのそれも含めて直截な日本語に飜譯すれば以下のやうにならないか

即ち曰く檢察官の人事を檢察官にだけ任せて
内閣の判斷で例外的に役職定年が伸ばせるやうな制度を設けたりさへしなければ
檢察官らは己の利害損得を忘れ專ら秋霜烈日を旨として只管職務に精勵し
以て司法の中立を護り三權分立の原則を小搖るぎもせぬやうに確立堅持するであらう

しかし萬が一にも檢察廳法が改正され
内閣に氣に入られゝば役職定年を過ぎても三年迄はその地位に留まれると云ふ事になれば
昨日までの秋霜烈日居士らは一轉寂滅爲樂やら田沼の濁りやらを喜ぶ凡愚堕落の徒に變じ
使命感も責任感も忘れ果てゝ唯々政權の意を迎へる事に汲々とするやうになり
爲に司法の中立も三權分立の原則も立所に崩れ去ること火を見るより明らかである云々

話を分かり易くする爲に多少誇張を加へた事は否定しないが
それにしても一體こんな事が有り得るものか
即ち嚴しい檢察廳法の下では己の利害損得よりも使命感に徹し
只管職務に精勵するやうな高潔な人士らが
特例的な役職定年延長の好餌を眼前にちらつかされた途端我欲の權化となり
晩節を穢して顧みぬ惡徳公務員に成り果てると云ふやうな事がだ
苟も檢察官たる者は處遇の如何に拘はらず全員が秋霜烈日の高潔なる人格者ばかりである
と前提すればこそ身分も人事の獨立性も保證されてゐるのではないのか

それとも言ふか
いやいや檢察官と雖も人の子だから状況に據つては我欲を抑へ通す事は難しからうと

しかし若しもさうなら假に役職定年は現状のまゝでも
ちよつと融通を利かせれば我欲を滿たせるやうな誘惑は幾らでも有り得るのではないか
何しろ法の番人たる檢察の力は及ぶ處廣大無邊らしいから

尤も全ての檢察官が秋霜烈日だなんて寝言みたいな事を言ふな
御前は好い歳をしてテレビドラマと現實の區別も付かないのか
と言はれて仕舞へばそれまでだが

もう一つ東京高檢々事長の定年延長問題に關する元檢察官有志らによる意見書に據れば
フランス王ルイ十四世の朕は國家也と云ふ言葉が中世の亡靈の如しと斷じられてゐるが
亡靈とは既に死去した者の靈の謂ひであり
即ちルイ十四世の時代には中世はもはや死滅してゐたと云ふ事になり
論理の導く處ルイ十四世は近代人だつたと云ふ事にもなる
此処は明らかに中世の象徴とでも言ふべき處だつたが
象徴とは肯定的な響きを持つ言葉であり安倍總理を貶めるには不適當とでも考へたか
元檢察官らは粗忽にも亡靈と云ふ否定的イメージの言葉を選んで仕舞つたのではないか

だとすれば彼らは論理を捨てゝ感情過多の物言ひをして仕舞つた譯で
假にそんな調子で書いた起訴状を法廷に提出すれば
辯護團に揚げ足を取られて立ち往生すること必定であらう

さう云へば蓮舫議員も元檢察官らが遣つた中世の亡靈なる表現に甚く感銘されたやうだが
まあ彼女の日本語讀解力を論ふのはいつか暇な折にでも讓る事にしておかう
この新型コロナ騷ぎの最中どさくさ紛れに遣る事でもあるまいから

呵々
プロフィール

平成山人

Author:平成山人
 防大出身の元一等空佐。現役時代は情報を專門職としてゐました。
 生れは西國の軍港都市、育つたのは播州、現住地は東京西郊、西窓に遠富士を眺めるあたりです。
 聊か時代遅れで、少々臍曲りですが、間違つた事は言はない積りです。宜しくお附合ひ下さい。

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